トヨタ自動車(TOYOTA)から発売されているハイラックス。
東南アジアや中近東、中南米、オセアニアなど世界中で販売されており、過酷な環境で酷使しても故障が少なくそのタフさから長年信頼されている世界のトヨタが誇る人気のピックアップトラックです。
2020年8月にマイナーチェンジされた現行モデルは、日本では2017年から販売されています。

本記事では以下のことについてまとめています。
・トヨタ ハイラックスはどんな車?
・ハイラックスの生産拠点
・日本仕様のハイラックスを製造している拠点
・ハイラックスの競合車
13年ぶりに日本導入が復活したハイラックス

記事タイトルのとおり2020年10月現在、ハイラックスは日本国内で正規に新車販売されている唯一のピックアップトラックです。 ※並行輸入車は除く
1968年の初代モデル発売以降、日本のみならず世界中で販売されており現在のモデルは8代目のモデルとなります。
6代目モデル(1997年〜2004年製造)までは日本でも販売されていましたが、7代目から日本での販売が終了し、トヨタ自動車の世界戦略車プロジェクトである「トヨタIMVプロジェクト」のラインナップとしてハイラックスの車名が引き継がれています。
日本では2017年9月に8代目ハイラックスが発売され、13年ぶりにハイラックスが日本で復活することとなりました。
ハイラックスは世界中の様々な使用用途や多種多様なニーズに合わせて、複数のボディタイプが製造され、国や地域ごとに販売されていますが、日本市場向けのボディタイプは4ドアの「ダブルキャブ」のみの設定で、日本仕様のハイラックスは全車、普通貨物自動車の1ナンバー登録となります。
世界で売られているハイラックスのボディタイプ
・シングルキャブ(2ドア)
・エクストラキャブ(2ドア)
・ダブルキャブ(4ドア)
2004年に6代目の国内販売が終了したのち、おもに北海道でハイラックスを使っている顧客から代替車の導入要望が多く相次いだため日本導入を実現させましたが、日本導入にあたっては日本の厳しい排ガス基準をクリアする必要がありました。
ランドクルーザー プラドと共同で開発した新型ディーゼルエンジン(GDエンジン)の開発に時間が掛かり、10年もの時間を掛けて日本導入を実現させています。
しかし日本導入が実現すると仕事用の乗り換え需要は少なく、初期受注では意外なことに20〜30代の裕福な男性ユーザーがレジャー用に購入するケースが非常に多く、初期受注全体のうち6割が20代と若年層からの人気が圧倒的に多かったとのことです。
ワークユースはもちろん、乗用車として普段の移動で乗られたり趣味やレジャーのシーンで活用するケースも多く、今では街中で見かける機会も増えてきました。
ハイラックスの日本導入復活をきっかけにピックアップトラック人気の再燃を予感させてくれるモデルです。
ハイラックスの生産拠点

これまでに180以上の国や地域で販売されてきたハイラックスは、複数の生産拠点で製造され、様々な国や地域に輸出しています。
ハイラックスの製造・組立てをしているトヨタの生産拠点8ヶ国(2020年現在)は以下の通りです。
東南アジア
タイ王国
Toyota Motor Thailand Co., Ltd.(TMT)
タイ国内にある3つの生産工場(サムロン、ゲートウェイ、バンポー)でハイラックスやカローラをはじめ、フォーチュナー、カムリなども生産しています。
マレーシア
Assembly Services Sdn. Bhd.(ASSB)
IMVシリーズであるハイラックス、フォーチュナー、イノーバの生産にくわえ、日野自動車やダイハツの車両も生産しています。
ミャンマー
Toyota Myanmar Co., Ltd.(TMY)
経済発展に伴い新車需要が大幅に伸びているミャンマーの自動車市場を見据えて、トヨタ自動車が初めてミャンマーに設立したTMYでは、2021年2月よりハイラックスの生産を開始する予定です。
パキスタン
Indus Motor Company Ltd.(IMC)
1996年よりハイラックスの生産を開始以降、カローラセダンも生産しています。
アフリカ
南アフリカ共和国
Toyota South Africa Motors (Pty) Ltd.(TSAM)
乗用車のカローラセダンやハイラックス、フォーチュナー、ハイエース、ダイナなどの商用車も多く生産しており、マニバーターやエキゾーストマニホールドなどの自動車部品も生産・輸出しています。
ケニア
Associated Vehicle Assemblers Ltd.(AVA)
AVAは豊田通商よりランドクルーザーと日野トラックの生産・販売を委託されていますが、2019年10月25日より新たにハイラックスの生産組み立てを開始しています。
中南米
アルゼンチン
Toyota Argentina S.A.(TASA)
ハイラックス、フォーチュナー(現地車両名:SW4)の生産を行なっており、カリブ地域や中南米地域に輸出されています。
ベネズエラ
Toyota de Venezuela Compania Anonima(TDV)
カローラセダン、フォーチュナー、ハイラックスのほかダイハツのテリオスを生産しています。
日本仕様のハイラックスはタイで生産
日本市場向けのハイラックスはToyota Motor Thailand Co., Ltd.(TMT)で生産されており、逆輸入車という扱いになります。
タイのバンポー工場で生産されている日本仕様の4ドア「ダブルキャブ」モデルには、日本仕様専用のバンパーガードガーニッシュが装着されています。
ハイラックスのライバルとなる競合車
世界各国で多種多様な使われ方をしているハイラックスは、国や地域、仕様用途、ボディタイプによって競合車が異なりますが、ここでは競合車となる代表的なモデルをご紹介します。
日産 ナバラ (NISSAN Navara)

ナバラは2015年にダットサントラックの後継車種として登場しました。
タイでは「NP300ナバラ」として初公開されており、北米市場では「フロンティア」という名称で販売されています。
ルノーのアラスカンやメルセデスベンツXクラスのベース車両にもなっています。
北米やタイ、中国、メキシコ、スペイン、アルゼンティン、南アフリカ(旧型モデル)の各工場で生産されており、三菱のタイ工場でも生産されています。
三菱 トライトン(MITSUBISHI Triton)

トライトンはアウトランダーに次ぐ販売台数となる三菱の世界戦略車種で、日本市場では2006年9月より日本に導入が開始され、2011年8月まで販売されていました。
2018年11月に発売された新型トライトンはタイで生産され、ASEAN、オセアニア、中東、欧州、アフリカ、中南米など約150ヵ国で販売されており、欧州市場では「L200」の車名で販売されています 。
かつてはフィアットにもOEM提供しており、「フルバック」というモデルで販売されていましたが、厳しい排ガス規制の影響で2019年に販売を終了しています。
「トライトン」という車名の由来は、スリーダイヤの「3つの」を意味する「トライ(tri)」と、1トンピックアップを意味する「トン(ton)」を合わせた造語でトライトンと名付けられています。
いすゞ D-MAX(ISUZU D-max)

いすゞ自動車は日本の乗用車市場からはすでに撤退していますが、東南アジアでは現在も乗用車の生産・販売を継続しており、タイで生産されているD-MAXは現地でも非常に人気のあるモデルで、2019年には3代目モデルにフルモデルチェンジされています。
いすゞとマツダはピックアップのOEM供給で提携しており、マツダからは「BT-50」の後継車種として販売されています。
D-MAXは2002年5月に登場しており、”D-MAX”という車名の由来は
Dが“Diesel Design Durability”の頭文字から引用し、MAXは“最大、最極化”を意味して名付けれれました。
D-MAXはタイを中心に約100ヵ国と世界各国で販売されていますが、タイでは多くのライバル車種の中でもトヨタのハイラックスとピックアップの販売台数のトップを争うほどの存在です。
フォルクスワーゲン アマロック(VOLKS WAGEN Amarok)

アマロックはフォルクスワーゲンとしては1980年代後半に販売されたタロ以来、実に30年ぶりに発売されたVWのピックアップトラックです。
アマロック(AMAROK)という車名は、イヌイット語で“狼”に由来しており、2009年のデビュー以来、販売は4ドアダブルキャブで欧州が中心ですが、南米などの一部市場では2ドアシングルキャブも用意されています。
フォード レンジャー(FORD Ranger)

レンジャーは世界180ヶ国で展開されているフォードの中型ピックアップトラックです。
大きく分けて2種類のモデルが存在しており、北米/南米で販売されているモデルと、アジア/オセアニア/欧州の一部諸国で販売されているモデルがあります。
北米/南米で販売されているモデルはシングルキャブのみのラインナップで、フォード・エクスプローラーと共有のシャシーを採用しています。
また、マツダ・プロシードはフォード・レンジャーのOEM車種として北米で販売されています。
アジア/オセアニア/欧州の一部諸国で販売されているモデルは、逆にマツダと合弁生産している”BT-50″の兄弟車種で、シングルキャブとダブルキャブの仕様もラインナップされています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
日本でも復活導入されたハイラックスは世界中で活躍しており、悪路走破性やメンテナンスの容易さから、長年愛されてきた歴史あるモデルです。
ピックアップトラックは日本であまり見かけませんが、世界に目を向けるとセダンやSUVと同じくらい街中を走っており、人々の仕事や生活に欠かすことのできない存在であることを感じます。
先進国である日本はアスファルトで舗装された綺麗な道路が当たり前ですが、東南アジアなどの新興国では都心部を抜ければ舗装されていない土の道や、大きな水たまり、段差などが当たり前の世界です。
過酷な環境の中でも、今日も世界のどこかでトヨタのハイラックスが活躍し、人々の生活を支えていると思うとなんだか嬉しくなりますね。
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