
「アメ車」と聞くとどんなイメージを持たれるでしょうか?
多くの方が「アメ車=壊れやすい」というイメージを持っていると思います
本記事では本当にアメ車は壊れやすいのか?
なぜ多くの人が「アメ車=壊れやすい」というイメージを抱いているのかについて解説します
アメ車は壊れやすいのか?
結果からお伝えすると、「アメ車=壊れやすい』は間違いです
正確には、「日本の中古車市場で購入するアメ車は壊れやすい車両が多い」
といったところでしょうか
言い方を変えれば、壊れやすいアメ車が多く流通する日本の中古車市場で、粗悪なアメ車を購入してしまった被害者が多くいたため、日本では「アメ車=壊れやすい」というイメージが定着しています
ではなぜ、「日本の中古車市場で購入するアメ車は壊れやすい車両が多い」のでしょうか?
壊れやすい車両が多い5つの理由を説明していきます
【理由①】過去のアメ車ブーム
壊れやすいアメ車が日本の中古車市場に増えた原因の一つに、アメ車ブームという時代背景があります
1990年代頃に日本で起こった空前のアメ車ブームによってアメリカから日本に多くのアメ車が輸入され、販売されました
当時はアメ車に乗っている有名人やスポーツ選手も多く、アメ車自体に憧れを持つ人も多い時代でした
爆発的な人気があった代表的な車の一つでいえば、シボレーのコルベットやアストロなどに乗っていた方も多いのではないでしょうか
国産車と比べると決して金額は安くないアメ車ですが、店頭にアメ車を並べればすぐ売れる時代です
販売事業者からすれば売れる車をたくさん輸入して売りたいのは当然ですが、アメリカの中古車市場でも、質のいい中古車は人気なので見つけて仕入れ続ける事は簡単ではありません
質の良い中古車は仕入れ価格も高くなるうえ、日本に輸入するための費用もかかるので当然、日本での販売価格も高額になりますが、人気のアメ車を安価で販売する事業者がたくさん出てきたのです
どうして人気のアメ車を安い価格で販売することができたのでしょうか?
それは、状態の悪い「粗悪な中古車をアメリカで安く仕入れ」て販売していたからです
そのため国産車や欧州車に比べて、今でも多くの粗悪なアメ車が日本の中古車市場に流通しているのです
【理由②】粗悪な中古並行車の流通
理由①で触れた、中古車市場に流通した粗悪なアメ車、とは一体何が粗悪なのでしょうか?
それはメーター改ざんです
メーター改ざんとは、走行距離メーターを巻き戻して走行距離を少なく偽る犯罪行為です
例えば20〜30万km走ったボロボロのアメ車を、キレイに塗装やドレスアップをして、日本では2万〜4万kmに走行距離を巻き戻して販売する、といった悪質な行為が横行していました
何十万キロも走った車両をろくな整備もせず、本当の走行距離を偽るような見た目に仕上げ、走行距離の短いアメ車として販売するとどうなるでしょうか?
新しいオーナーに納車されたあとに様々な箇所が不具合を起こしたり、故障が発生し始めます
本当の走行距離に見合った正しい整備がされていないアメ車なので、いつ故障しても不思議ではありません
トランスミッションが壊れたり、オイル漏れを起こしたりと、走行距離に見合わない故障が起き始めます
粗悪なアメ車を購入したオーナーは数万kmしか走っていない車両を買ったハズなのに、大きな故障で高い部品交換が必要になってしまうのです
本当の走行距離は数十万kmなので、故障する頻度も増えてしまいます
このようなメーター改ざん車を購入してしまった人が非常に多く、「アメ車=壊れやすい」というイメージを醸成してしまった、という訳です
アメリカで新車を購入して、日本に輸入された車両を「新車並行車」と呼び、アメリカで購入した中古車を輸入した車両は「中古並行車」と呼びますが、当時は並行輸入された多くのアメ車がメーター改ざんされていたので、日本の中古車業界でもいまだに中古並行車のイメージはよくありません
【理由③】気候の違い
沖縄と北海道で寒暖差があるように、広大な土地を持つアメリカも東海岸、西海岸で気候や平均気温に違いがあります
日本でも潮風に晒される海沿いで乗られていた自動車はボディにサビが発生しやすかったり、雪国で走っていた車の下回りは凍結防止剤によってサビが発生している車両が多かったりします
日本の気候には梅雨があり、暑い夏を迎え、雪が積もるほど寒くなる冬があったりと、高温多湿で四季がはっきりしています
例えば、アメリカの雨があまり降らない地域で乗られていたアメ車を日本で乗るとどうなるでしょうか
砂埃を浴びたボディは、車両の細かい隙間や水抜き穴など、いたるところに砂が溜まります
雨が降ると溜まった砂が泥となり、水抜き穴が詰まります
詰まった泥によって排水されなくなった鉄のボディには、サビが発生して最終的には塗装の内側からサビが浮いてくるのです
降水量の少ない気候で乗られていた車を、高温多湿の日本で乗る事で発生すると車両に不具合が生じる
なんとなくイメージできますよね
【理由④】使用される環境の違い
国土の広いアメリカと日本で使用される環境を比較すると、アメリカは移動距離が圧倒的に長く、信号で停止や発進を繰り返す頻度は低くなります
反対に日本では狭く短い移動距離で車を動かす事が多く、信号で停止したり渋滞でストップ&ゴーを繰り返すような乗り方になってしまいますが、ストップ&ゴーを繰り返すと発進時に大きなトルク(駆動力)が必要となるので、トランスミッションに大きな負担が掛かります
他にもエンジンやバッテリー、オイルの消耗スピードにも影響してしまう乗り方
それが短距離でストップ&ゴーを繰り返す乗り方なのです
このように、環境によって自動車の使われ方が異なるため、車両に掛かる負担も大きく変わってきます
【理由⑤】アフターメンテナンスの難しさ
トヨタや日産などの国産車メーカーは全国にディーラーがたくさんありますが、アメ車メーカーの正規ディーラーは店舗数も場所も限られてしまいます
GM(General Motors)はGM Japanが正規ディーラーとして存在し、クライスラーやJeepも日本に正規ディーラーが存在します
※フォードは2016年に日本より撤退
国産車メーカーのディーラーと店舗数を比較してしまうと、頼れる正規ディーラーが少ないのも事実です
正規ディーラーで取り扱いのある車種に乗っている場合は、メンテナンス可能ですが、並行輸入車や正規に取り扱っていない車種に乗っているとメンテナンス自体を断られたりするケースもあります
正規ディーラーでメンテナンスできないオーナーは、街の整備工場や近くの車屋さんなどに持ち込むオーナーも多くいますが、メンテナンスパーツのオーダーや輸入の対応ができなかったり、メーカー専用テスターなどを持っていないケースが多くあるので、対応できるメンテナンスが限られてしまうのです
結果、メンテナンスが行き届かず、車両状態が悪くなってしまったり、そのまま売却されて中古車市場に流通することになります
アメ車を購入する前に知っておくべきこと
アメ車に壊れやすい車両が多い理由について説明しましたが、中古並行車の場合はアメ車を購入する前にアメリカでの走行履歴を調べることで、少しでもリスクを回避することができます
中古並行車や履歴については、こちらの記事で記載しています

まとめ
要点のまとめ
・アメ車=壊れやすいは間違い
・正確には「日本の中古車市場で購入するアメ車は壊れやすい車両が多い」
・壊れやすいアメ車が日本い多い理由は以下の通り
①アメ車ブームによって「粗悪な中古車をアメリカで安く仕入れ」て販売された
②メーター改ざんされた粗悪な中古並行車が多く流通した
③アメリカと日本で大きく異なる気候の違い
④自動車が使われる環境の違い
⑤ 正規ディーラーが少なく、メンテナンスできるショップが少ない
・過去の走行履歴を調べることでリスクを回避する
エコカーや電気自動車が当たり前の時代ですが、大排気量で大きなボディのアメ車が好きなファンもまだまだ多いはずです
いまだに流通する粗悪なアメ車を購入しないためにも、本記事が参考になることを願っています!
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